インプラントを土台にした総入れ歯
【インプラントオーバーデンチャー】

特徴
インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントを入れ歯の土台にした総入れ歯です。
インプラントが軸となるため保険の入れ歯よりも入れ歯がズレにくく安定します。インプラントオーバーデンチャーの作製には、入れ歯の加工と2~4本のインプラントを埋め入れる手術が必要です。
一般的な総入れ歯の場合、噛んだ時の力は粘膜が支えます。そのため噛む度に入れ歯が沈み込み、痛みが発生する場合があります。それに比べてインプラントオーバーデンチャーはインプラント体が噛んだ時の力を吸収するため、入れ歯の沈み込みが少なく天然の歯で噛んだ時のような自然な噛み心地を実感できます。また、インプラントが歯の根の役割を果たし、骨の吸収(骨が痩せほそること)を防ぐことにもつながります。
入れ歯とインプラントを固定させるためは「アタッチメント」と呼ばれる装置を使用します。アタッチメントは形状によって主に3つのタイプがあります。
- ボールアタッチメント
- バーアタッチメント
- マグネットアタッチメント
アタッチメントが入れ歯とインプラントをしっかりと連結するので、食事や会話の際も入れ歯がずれにくくなります。
また、オーバーデンチャーは自分で取り外しが可能です。固定式の義歯(ALL-on-4)と異なり、いつでも自分で着脱ができるので、入れ歯とお口の中を清潔に保つことができます。
※ALL-on-4(オールオンフォー)とは、総入れ歯の方や多くの歯を失った方に適応するインプラントの治療法です。4本のインプラントを埋め入れ10~12本の固定式の人工歯を支えます。
素材
ボールアタッチメントントボール状の丸い突起がついた装置です。入れ歯の内側にはインプラントの突起の形状に合う金具を取り付け、入れ歯とインプラントを安定させます。入れ歯の着脱が簡単でお手入れがしやすいのが特徴です。
バーアタッチメント2~4本のインプラントを金属製のバーで連結した装置です。入れ歯の内側にクリップのようなものを装着し、入れ歯を装着時にインプラントのバーと連結させます。バーとクリップがしっかりと挟み込まれることで、安定感が高くなります。
マグネットアタッチメントインプラントに「磁性金属」を取付け、入れ歯には「小型磁石」を埋め込み、磁石の力で入れ歯を安定させます。
- 安定感があり、ずれにくい
- インプラントが入れ歯を支えるので、粘膜で入れ歯を支える一般的な入れ歯と比べて自然な噛み心地を実感できる
- インプラントが歯の根の役割をとなり、周囲の骨(歯槽骨)の吸収を防げる
- インプラントを2本以上埋め入れる手術が必要
- インプラントが骨に定着する期間が必要になるため、治療期間が長くなる場合がある
- 入れ歯、インプラントの両方のメインテナンスが必要
医歯薬学総合研究科・生体材料学分野
松本 卓也 教授