歯を失ったときの治療法!
入れ歯・インプラント・ブリッジについて
何らかの原因で歯を失った場合、入れ歯・インプラント・ブリッジの選択肢があります。更に歯の一部を失った場合と、すべての歯を失った場合によっても選択できる治療法が変わってきます。
それぞれの治療法にはメリットと留意点があり、お口の状態や生活環境によっても治療法が異なります。様々な選択肢を視野に入れそれぞれの特徴についても考えてみましょう。
入れ歯ってなぁに?
入れ歯とは、歯や周囲の組織(歯ぐきや顎の骨)を失った時に、お口の機能を補うための取り外し式の装置です。歯が1本でも残っている場合は部分入れ歯となり、上下顎のすべての歯を失っている場合は総入れ歯となります。
入れ歯は現在のお口の状況に合わせて作製できるので、あごの骨の量が少なくても大丈夫です。外科手術の必要もありません。さらに、入れ歯はほとんど歯を削る必要がなく、健康な歯を傷つけません。入れ歯治療は失った歯を補う治療の中では、身体への負担が少ない手段として選択されています。
教えて!入れ歯のメリット・留意点
部分入れ歯・総入れ歯ともに、どちらのタイプも取り外しができるのでいつでも清潔な状態を保てます。また、入れ歯は将来のお口の経年変化に対しても柔軟に対応できます。万が一、ほかの歯を失うことになっても、現在の入れ歯を修理しながら使い続けられるので結果的に長く使用できます。
入れ歯は設計の自由度が高く、歯や歯ぐきなどの組織の状態に応じた材料や設計や治療方法を選択でき、自分好みにカスタマイズすることも可能です。
自分にはどんな入れ歯が合っているのか、入れ歯選びに困った時は歯科医師と相談すると良いでしょう。きっとライフスタイルに合わせた、あなたにぴったりの入れ歯のアドバイスをくれるはずです。
- いつでも取外しができるので清潔な状態を保てる
- 治療期間がインプラントと比べて短い
- 健康な歯を削る量が少なく(または削らずに)お口の状態に合わせて作製できる
- 修理を重ねて長く使用できる
- 保険の入れ歯を選択すると、自由診療の入れ歯より安価になる
- 取り外しが面倒に感じる方には不向き
- 噛む力がブリッジやインプラントと比べて弱い
- 慣れないうちは異物感を感じる場合がある
- 適合が悪いと外れることがある
入れ歯の種類は大きく分けて部分入れ歯と総入れ歯の2つに分かれます。
インプラントってなぁに?
インプラントとは、あごの骨の中にチタン製の人工歯根(フィクスチャー)を入れ、その上に被せ物を装着する治療法です。チタン製の人工の根が歯の根の役割を果たし、失われた歯の機能を回復させます。
教えて!インプラントのメリット・留意点
インプラントは天然の歯と変わらないほど噛み心地が良く、見た目も自然で周りの健康な歯を傷つけません。しかし、インプラント体を支え、噛む力に耐えられるだけのあごの骨がないとインプラント治療が行えない場合があります。
インプラント治療を選択する場合は歯科医師と相談の上、十分に検査を行い外科手術のリスクを理解してから治療を受けましょう。
- 周囲の歯を削らない
- 噛む力が天然の歯に近い
- 見た目が自然である
- 残された歯に負担をかけない
- 外科手術が必要である
- あごの骨の状態によっては適応が難しい
- 全身疾患がある場合は適応が難しいことがある
- インプラント周囲炎が起きる可能性がある
- 保険適用外のため治療費が高額になりがち
ブリッジってなぁに?
ブリッジとは歯を失った部分の両隣の歯を削って土台とし、連結された一連の被せ物で歯の機能を回復させる治療法です。インプラントと同様に、固定式のため自分では取り外しができません。
教えて!ブリッジのメリット・留意点
ブリッジは、噛む感覚が天然の歯に近いので違和感は少ないでしょう。保険適応の場合は銀歯になりますが、自由診療を選択する場合は白い被せ物にすることができます。その場合は治療費が保険のブリッジよりも高額になりますが審美性は高まります。
しかし、自分の歯を削って支えとする必要があるだけでなく、支えの歯の健康状態によってはブリッジが適応しない場合があります。また、ブリッジと歯ぐきの隙間に食べ物が挟まりやすく清掃が困難な場合もあります。
かかりつけの歯科医院で現在の歯や歯ぐきの状態をきちんと検査し、健康な歯を削るリスクも確認した上でブリッジを選択する必要があります。
- 噛む力が天然の歯に近い
- 着脱の面倒がない
- 審美性の高い被せ物も選べる(保険適応外)
- 保険が適応されインプラントより安価である
- 欠損部の両隣の歯を削る必要がある
- 欠損している本数によっては保険適用外となる
- ダミーの部分と歯ぐきの隙間に汚れが溜まりやすい
医歯薬学総合研究科・生体材料学分野
松本 卓也 教授