入れ歯を使用した嚥下の関係について[PR]
嚥下障害のケースについて
嚥下障害(飲み込む動作による障害)は、加齢によって次第に現れるものと、脳卒中など他の病気によって現れるものがあります。
ここでは、生活者が加齢によって現れる「筋力低下」と「感覚低下」のケースについてお話します。
1.筋力低下普段運動をされている方でも、「飲み込むための筋力を鍛えたことはない」という方は多いと思います。生涯健康で食事を楽しむためには、口から食べて飲み込むことを意識した「喉の力」が大切です。
その「飲み込みのトレーニング」には様々な方法があります。例えば、入れ歯についてお話すると、すでに飲み込む力が弱い方が入れ歯を装着する場合「上あごだけに入れ歯を装着する」という方法があります。このようにして、まずは飲み込む力を回復させるのです。
私たちは普段何かを飲み込む時、舌を上あごにつけて食べ物を喉に送り込みます。その時に飲み込む圧力が生まれます。上あごの入れ歯はこの送り込みの舌の動作がスムーズにできるため、下あごに入れ歯を装着するよりも上手に飲み込むことができます。
一方で、総入れ歯の場合は飲み込み方が変わってきます。総入れ歯は部分入れ歯と比べて入れ歯のサイズが大きいため、口の中が狭くなることで飲み込みにくい傾向があります。飲み込む力が弱い方が上下の総入れ歯の装着をご検討される際は、嚥下機能に詳しい歯科医師に相談しましょう。
2.感覚低下「感覚低下」は脳卒中などによる神経麻痺により生じますが、生活者においても加齢や疲れなどにより感覚が鈍ることがあります。このような感覚の鈍りはものを飲み込む際にも現れます。普段の食事で「しっかり飲み込めたかよくわからない」というように無意識に食べ物を飲み込んでいる場合には、固い物と柔らかい物を交互に食べるようにすることで、「飲み込む力を意識づける」という食べ方があります。これは、生活者が取り入れやすい飲み込みトレーニングの一つです。
筋力低下と感覚低下による喉の中の変化
次に、筋力低下・感覚低下で、実際に喉の中でどのようなことが起こっているか見てみましょう。
1.残留「残留」の写真は、嚥下機能検査で行われている造影検査の様子です。食べた物の一部が喉に残っているのが見えます。飲み込む力が弱っているためスムーズに食道に送り込まれず、喉に引っ掛かり続けている状態です。呼吸をしている間にこの残留物が下気管の方へ入ると「誤嚥」となり、そこに含まれていた雑菌が肺を荒らすと誤嚥性肺炎に至ります。
誤嚥性肺炎の予防のためにも、入れ歯を清潔に保つことが大切です。入れ歯を洗浄し、お口の中がきれいな状態で食事をするようにしましょう。
2.唾液の侵入
ここでは、残留や誤嚥を発見する「ごっくんチェッカー※」という機器について説明します。「ごっくんチェッカー」は嚥下機能の診察で使われる場合もあります。この機器では、造影検査や内視鏡では見えにくいものが気管に流れ込んでいる様子をグラフで表しています。
グラフで「侵入」と書いてあるところが、飲み物が気管の方へ入った瞬間の波形です。
しかし、このケースでは感覚低下があるために「むせ」が起こらず自発的に咳をしていません。つまり、異物が気管に入るとむせるのが通常ですが、感覚低下があると気管に何かが入った感覚が薄れているため、むせにくいのです。
また、飲食による誤嚥以外にも唾液が気管に侵入する場合があります。少量の唾液はさらに異物感が少ないため、知らず知らずのうちに気管へ入り込む恐れがあります。
感覚低下があると、睡眠中は唾液が入り込んでもむせないことが多いため十分に注意が必要です。誤嚥性肺炎を防ぐためにも就寝前には口の中を清潔にしておきましょう。また、枕を高めにして寝ることにより、胃液侵入の予防にもつながります。
以上、入れ歯と飲み込みに関するいくつかのポイントをお話させていただきました。
皆さまに食べる楽しみが、いつまでも続きますように。
※「ごっくんチェッカー」について
「ごっくんチェッカー」は、病院、訪問歯科診療、介護施設、健康増進施設などで導入されています。首にセンサーを当てるだけで、身体に負担のない飲み込み状態の測定が可能です。医療従事者でなくても、在宅介護・ヘルスケアとして一般の方も簡単に使用できますので、お近くで導入されている施設がありましたらご利用ください。
※波形分析には、専用ソフトをプレインストールしたタブレットが必要となります。
▽「ごっくんチェッカー」に関するお問い合わせ先
株式会社ハッピーリス 03-5879-4260
代表取締役 吉田理恵