入れ歯の素材・用語集
歯について
硬質レジン[こうしつれじん]ポリメチルメタクリレートを主体としたレジンにフィラーを加えた人工歯。
フィラー[ふぃらー]
強度や機能性向上のために添加される粒子状の物質。
陶歯[とうし]
長石、石英などを原料としたセラミックス系人工歯。
床について
レジン床義歯[れじんしょう(ぎし)]公的医療保険で作る床部分は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)でできているものが多い。
他にポリスルフォンやポリカーボネートでできているものもある。色は透明なピンクをしていて歯肉の色となじむ。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)[ぽりめちるめたくりれーと]
ポリメチルメタクリレート(PMMA)とはアクリル樹脂系の材料である。
アクリル樹脂とは、アクリル酸あるいはメタクリル酸の重合体で、透明性の高い合成樹脂である。成形性が良く修理も容易に行うことが可能。強度はそれほど高くない。吸水性が高いのが特徴。
ポリスルフォン床義歯[ぽりするふぉんしょうぎし]
熱可塑性樹脂であるポリスルホンを射出成型して製作される義歯のことである。ポリメチルメタクリレートレジンでアレルギーが起こる方も選択できる。
耐熱性、耐燃性に優れており変形や変色などの劣化を起こしにくい。壊れた場合の修理は困難である。
ポリスルフォン樹脂[ぽりするふぉんじゅし]
耐熱性、耐燃性に優れており変形や変色などの劣化を起こしにくい。
ポリカーボネート床義歯[ぽりかーぼねーとしょうぎし]
ポリカと省略されることもある。熱可塑性樹脂であるポリカーボネートを射出成型して製作される義歯のことである。アクリル樹脂などと共に有機ガラスとも呼ばれ、透明性、耐熱性と強度に優れている。壊れた場合の修理は困難である。
ポリエーテルスルフォン樹脂[ぽりえーてるするふぉんじゅし]
耐熱性、耐衝撃性、透明性、耐薬品性を兼ね揃えた合成樹脂の一つ。
ポリアミド樹脂[ぽりあみどじゅし]
ポリアミドからなる熱可塑性樹脂の総称で柔軟性、強靭性をもつ材料である。ノンクラスプ床義歯の材料として使用される。
イボカップ(加熱加圧精密重合レジン)[いぼかっぷ(かねつかあつせいみつじゅうごうれじん)]
重合時のレジン収縮を加圧補充するため、高い適合性がある。衝撃に強く、臭いが付きにくく変色しにくい。
ポリジメチルシロキサン(シリコーン)[ぽりじめちるしろきさん(しりこーん)]
歯科医療の分野だけでなくコンタクトレンズなどの医用器具からエラストマー、防水剤、潤滑油、耐熱タイルまで幅広く使用されている。
金属フレームについて
コバルトクロム[こばるとくろむ]コバルト60.7%、クローム31.3%、モリブデン6%、その他2%が含まれている合金である。強度、生体適合性に優れる。
チタン[ちたん]
生体適合性に優れた金属である。デンタルインプラント(人工歯)等の人体に接触面を持つ医療器具に適用されており、金属アレルギーの方でも使用できる。
白金加金[はっきんかきん]
金を主成分とした銀、白金、パラジウム、その他の金属を混ぜ合わせた合金である。一般的に金の含有量50%以上である。薄い床部を作製するのに適している。
ゴールド[ごーるど]
ゴールド(金)は他の金属に比べて柔らかく、より精密に加工することが可能である。丈夫で生体親和が高く、金属アレルギーの方でも使用できる。
ニッケルクロム合金[にっけるくろむごうきん]
弾力と機械的強度を誇るコバルト・クロム・チタンが含まれている合金。「弾力」に重点をおいた金属である。
医歯薬学総合研究科・生体材料学分野
松本 卓也 教授