お口の渇きでお悩みの方へ!
唾液を増やすお口のうるおいケア
食べものが飲み込みにくい、お口の中がネバネバする、口臭が気になるなど、お口の渇きに関するお悩みの抱えている方は多いのではないでしょうか。
お水を飲むことで解消されることもありますが、唾液の分泌量そのものが減少している場合は対策が必要です。
緊張やストレスが原因で一時的に唾液が少なくなっている方、お薬の副作用で慢性的に唾液を排出しにくい方、加齢で唾液を作り出す機能そのものが衰えている方にもぜひ試してほしい、お口のうるおいケアをご紹介します。
今すぐトライ!簡単マッサージ
唾液は唾液腺から分泌されています。唾液腺はお口のまわりや中に複数存在していて、耳下腺[じかせん]・舌下腺[ぜっかせん]・顎下腺[がっかせん]からの排出量が全体の約90%を占めています。
そこで、この3ヵ所をじっくりと刺激するのが唾液の分泌のポイント。唾液の分泌を促し、お口にうるおいを与えます。毎日の習慣として取り入れ、お口のトラブルを改善しましょう。
耳下腺は耳の下周辺にある組織です。顎のラインに沿って耳の下に手指をあて、円を描くようにマッサージをします。強く押しすぎず、気持ちよいと感じる程度に圧をかけましょう。
2.顎下腺[がっかせん]顎下腺は下顎の骨の内側にある組織です。指先を顎の骨の柔らかい部分にあて、耳の下から顎の先まで指の腹でゆっくりと押し当てます。
3.舌下腺[ぜっかせん]舌下腺は舌の付け根と顎先のとがった部分の内側にあります。こぶしを握り親指を立てたら、親指の腹を下顎のくぼみに沿わせ、親指でぐっと押し上げます。
手軽にできるマッサージ法なので、お口の渇きが気になるときに取り入れやすいのが嬉しいですね。決して強く押さず、気持ちが良いと感じる圧で行いましょう。
舌を回すエクササイズも唾液の促進につながります。
口を閉じたまま、舌を歯ぐきに沿わせてゆっくり動かしていきます。
1セット20回3セットを、左回しと右回しをそれぞれ行いましょう。
唾液の分泌の促進だけでなく、表情筋を鍛えるトレーニングにもなるため、ほうれい線対策にもおすすめです。
よく噛んで食べること、唾液以外の効果にも期待
お口の渇きを感じたら、いつもより噛む回数を意識してみましょう。唾液腺が刺激され、唾液の量が増加します。
よく噛むことは唾液の分泌だけでなく、身体の健康にも関係します。例えば満腹神経を刺激し食欲をコントロールする作用や、ストレスを緩和し精神を安定させる作用、記憶力や集中力を高める作用、感覚や運動神経を向上させることも期待できます。
よく噛むことはお口の中だけでなく、全身の健康にもつながります。
リフレッシュが一番!生活習慣を見直してみよう
ストレスフルな生活を送っているなら、趣味や運動でリラックスしてみてはいかがでしょうか。生活習慣の見直しで唾液の質も変化します。
唾液には2種類の性質があります。サラサラした性質の唾液と、ネバネバした唾液です。ストレスや緊張で交感神経が優勢になると、唾液の量が低下しネバネバした粘液性の唾液になります。緊張時に喉が渇くのはそのためです。ネバネバした唾液は水分量が少ないため、お口の中の細菌を洗い流す「自浄作用」が減り細菌が停滞しやすい状態に。そのため口臭も生じやすくなります。
一時的な緊張やストレスなどであれば心配する必要はありませんが、ネバネバ唾液が3ヵ月以上続くようであれば生活習慣そのものを見直す必要があるかもしれません。
たばこの害は唾液の分泌にも影響します
喫煙の習慣がある方はご注意を。たばこの害は言うまでもありませんが、唾液の分泌にも関係します。喫煙によるニコチンの作用は血管を収縮させるほか、交感神経に働きやすいためネバネバした唾液を出しやすくなり唾液の量を低下させます。
どうしてもたばこがやめられないという方は、唾液腺のマッサージやガムを噛むなどの代替策を試してみてください。様々な方法で唾液の分泌を促すことで口内環境を整えていきましょう。
医歯薬学総合研究科・生体材料学分野
松本 卓也 教授